くらげさろん

とびっきりの台詞を探しています。映画はやっぱり劇場で観たい!こんな作品を観てきましたよっていう映画感想ブログです。ネタバレあり。

『15年後のラブソング』【映画感想・ネタバレ・見どころ・名台詞】

年を食えば大人になれるわけじゃない『15年後のラブソング』

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©2018 LAMF. JN LTD

英国の港町。父の博物館を継いだアニーは、15年来の恋人ダンカンと暮らしている。

オタク気質のあるダンカンは表舞台から忽然と姿を消した伝説のロックスター、タッカー・クロウの熱烈なファンで、ファンサイトを運営している。

タッカーの代表作『ジュリエット』のデモテープを入手するが、先にアニーが聴いたことで喧嘩になり、加えてアニーがそれほど評価しなかったことで、二人の仲は険悪になる。

腹いせのようにアニーは、ダンカンのファンサイトに辛口コメントを投稿。

するとタッカー本人から「君の意見に同意する」と直接メールが届いて…。

原題 "Juliet, Naked"

"Juliet, Naked"はタッカー・クロウの代表作 "Juliet"のデモテープにつけられたタイトル。字幕では『裸のジュリエット』となっている。

ニック・ホーンビィの小説が原作。


6/12公開 イーサン・ホーク主演「15年後のラブソング」予告編

見どころ

アニーが無駄にした歳月を数えたりして諦める言い訳を探すのを止めて、現状を打開しようと踏み出す一歩がたまらなく爽快。三人三様の現状足踏み状態に、どこかしら自分を投影できるかも。ローズ・バーン、クリス・オダウト・イーサン・ホークら演技巧者たちが魅せる。

イーサン・ホークの憎めないダメっぷり

ダンカンが心酔し、ファンサイトで半ば神格化しているタッカー・クロウ。

演じるのはイーサン・ホーク。『いまを生きる』『ビフォア・サンライズ』『ガタカ』『デイブレイカー』『プリデスティネーション』『マグニフィセント・セブン』など出演作をざっと思い出してみた。若い頃はその美しさが目立っていたが、年を重ねるごとにいい感じの渋さを醸し出している。

近年ダメ男を演じることも多いが、どれも心底憎めない魅力あふれるダメ男が表現できるのはイーサン・ホークの本領発揮だと思う。本作のタッカーは、別れた恋人から赤ちゃんを手渡され、どうしていいかわからずそのまま楽屋に置き去りにしてギグの途中で失踪し、そのまま音楽シーンから遠ざかってしまい、20年を無為に過ごしてしまう。現在は別れた妻のお情けで裏のガレージに住まわせてもらい、孫とも言えそうな幼い息子の成長をそばで見守る。タッカーが心臓発作で入院したとき、かつての妻や子どもがあちこちから病室に集まるのだが、子どもたちは初めてお互いを知ったりするとんでもない状況なのだが、病室は賑やかでタッカーの人柄がしのばれて、ユーモラスなシーンになっている。

やっぱりジャド・アパトーだったか

ダンカンはタッカーとは違ったタイプのダメ男。運営するファンサイトではタッカーについて連日飽きずに仲間と語っている。正直その熱量は興味のない人間にとってはつらいもの。アニーと暮らす家の地下室はまるごとタッカーを祀る祭壇のよう。イーサン・ホークの若い頃の写真がずらっと並んでいて、おおっとなる。大学では確か90年代のTVドラマにおける男性の役割か何かを講義しているのだが、学生に配るレジュメがすごく面白そうだった。さておき、アニーとは長年パートナーだが、当初子供はいらないとお互いに確認し合っていたのを15年経った今でもその言葉通りと思っている。同僚の女性がタッカーを高評価すると、安易に浮気して流されてしまう。

この第三者的に見ると面白いけど、絶対隣にいてほしくないダメっぷりはもしかして…と思ったら、やっぱり製作にジャド・アパトーの名前がありました!『スーパーバッド』『俺たちステップブラザーズ』『スモーキング・ハイ』などなどダメ男を描かせれば業界一ではなかろうか。

ダンカンのダメ男っぷりには、いちいちイラッとくる。これはクリス・オダウトの本領かと。

気に入った台詞

君が無駄にした15年がこれか

アニー宅を訪問したときにダンカンの作り上げた地下室を見てタッカーが言った台詞。アニーはタッカーと親しくなっていくうちに、自分の惰性でしかなかった15年間を吹っ切ることを決意する。アニーはダンカンを家から追い出し、子どもを持つ決意をしロンドンに生活の場を移す。ラスト、タッカーと待ち合わせているカフェに向かうアニーはとても綺麗だ。決意した女性は美しい。

今度のタッカーのアルバムは超駄作

ラスト、アニーはロンドンで仕切り直しの生活を始めている中で、タッカーとの恋もうまくいっている様子がほのめかされる。タッカーも音楽活動を再開したようなのが、ダンカン運営のファンサイトで分かる。ところがタッカーの新作はダンカンのお気に召さなかった模様で、けちょんけちょんにこきおろす。愛する女と暮らす家の菜園で育てる豆の成長なんかに興味ねえよ、みたいなことをサイトで吠えていた。こういうファン心理、あるな。

どうでもいい備忘録

お気に入りの台詞の次点となった台詞をいくつか書き残しておく。

  • スペイン王室とは関係ないね
    ダンカンが運営するサイトで、ファン同士がタッカーのその後について情報交換する中で生まれた都市伝説のようなもの。三人での食事会の席でやはり嘘だと判明。
  • 俺は20年を無駄にしたよ
    アニーが自分の15年を振り返り嘆いたときに、タッカーが返した言葉がこれ。
  • なら僕はスティービー・ワンダーだ
    浮気中のダンカンが、浜辺で偶然アニーとタッカーに出くわし、自己紹介されても尚信じずにのたまった。いかにも言いそうな台詞と、ダンカンのにやけた表情が絶妙。