くらげさろん

とびっきりの台詞を探しています。映画はやっぱり劇場で観たい!こんな作品を観てきましたよっていう映画感想ブログです。ネタバレあり。

『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』【映画感想・ネタバレ・見どころ・名台詞】

あんたなんかに優しくなれない『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

f:id:kurakero:20200702135924j:plain

©2019 Lions Gate Entertainment Inc.

N.Y.郊外のお屋敷で富豪のミステリー作家ハーラン・スロンビーが遺体で発見される。
85歳の誕生日パーティーの翌朝のことだった。
名探偵ブノワ・ブランは匿名の調査依頼を受ける。
パーティーに参加した親族らは全て容疑者。
彼らの関心はただ一つ、莫大な遺産を誰が相続するのか。
それぞれに遺産を狙う理由があって…。

原題 "Knives Out"

意味は knives are out からきてるのかな。

ナイフが出ている状況から、誰かに対し極端に不親切だったり敵意をむき出しにしたり非難するときに使われるのではないか、と推測。

予告の0:21~にも映るお屋敷の部屋に置かれたナイフのオブジェが象徴的。

ライアン・ジョンソン監督がアガサ・クリスティーに捧げる本格ミステリー。 


『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』1.31(金)公開/60秒予告

見どころ

いかにもアガサ・クリスティ好みのミステリー。豪華キャスト揃い踏み、故に犯人の目星がついてしまうという難点はあるものの、移民の使用人マルタと富豪一族との立場逆転が強烈。他者へのやさしさとは、自分に余裕がないと持てないものなのだろうか。

豪華キャスト共演

ミステリー作家で大富豪のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)。
85歳の誕生日を祝うため、親族が集まる。

翌朝、家政婦のフランはハーランの朝食を手に、寝室へ向かう。

飲み物の入ったマグカップには"My House My Rules My Coffee!!"の文字。だからたぶん中身もコーヒー。

f:id:kurakero:20200702135929j:plain

knives out official shop

寝室でハーランは死亡していた。ナイフで首を掻き切っての自殺、と地元警察により判断され葬儀が行われた。

一週間後、名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が匿名の依頼を受け屋敷にやって来る。

関係者が呼び戻され、ブノワは殺人ではないかと再調査を開始。

f:id:kurakero:20200702135947j:plain

©2019 Lions Gate Entertainment Inc.

関係者を一人ずつ呼び出し事情聴取。007でないダニエル・クレイグを見るのは久しぶり。007のようにシュッとしていない感じが探偵っぽい。

関係者が多いので、ここでざっと整理してみる。

---------------------------------------

ハーランの看護士マルタ(アナ・デ・アルマス)『ブレードランナー2049』に出てたあの人。献身的な仕事ぶりから友情ともいえる信頼関係を築いていた。嘘の吐けない特殊体質。不法移民の親と暮らす。

f:id:kurakero:20200702135942j:plain

©2019 Lions Gate Entertainment Inc.

家政婦フラン。遺体の第一発見者。

ハーランの長女リンダ(ジェイミー・リー・カーティス)不動産業務を仕切る敏腕実業家。

長女・夫リチャード 浮気をハーランに見破られていた。

長女・息子ランサム(クリス・エヴァンス)放蕩三昧。一族の鼻つまみ者。『キャプテン・アメリカ』(キャップ大好きー)とは正反対キャラ。長いこと善人キャラだったせいか、反動で振り切れた演技も楽しそうで何より。

f:id:kurakero:20200702135938j:plain

©2019 Lions Gate Entertainment Inc.

長男・未亡人ジョニ(トニ・コレット)娘の学費を二重受取・着服していたのがばれて援助打ち切りが決定していた。

ジョニ・娘(ハーランの孫)メーガン(メグ)マルタの友人で学生。

次男 ウォルター 著作管理を任されているが、能力なく首を宣告されている。

次男・妻 ドナ 

次男・息子(ハーランの孫)ジェイコブ(ジェイデン・マーテル)オタク少年。『IT/イット』の主人公で知名度が上がってキャスティングされたのか、今回は見せ場がない。

ハーランの母親 ”グレート・ナナ” 年齢不詳。 

------------------------------------------

一見順調そうな人物も、問題を抱えている。

ブノワとの面談時、自分に都合の悪いところはうまいこと誤魔化しながら話すのだが、途中画面が静止、本人の回想が差し込まれる。これにより本人の隠したい部分が判明する。この辺り、構成うまい。

 

看護師マルタの特殊体質とは嘘をつくと嘔吐してしまうというもの。嘘がつけない彼女をブノワは助手にすることに。

自殺か他殺か

ざっくりとあらすじを追って。

パーティーの夜、就寝前ハーランがふざけたことでマルタは薬とモルヒネを間違えて注射してしまった。あるはずの拮抗薬がその日なぜか見つからない。救急車を呼ぼうとするもハーランが制止。時間的にもう間に合わないし、大ごとになったら母親の問題(不法移民)まで言及される虞があるから、と。

マルタにアリバイ作りを伝授し、ハーランは自殺を図る。

 

遺言状が公開され、全てはマルタに相続されることが判明する。

親族たちは激高する。ハーランが死んだ直後はいい人面していたのが手のひら返し。

そこから救い出したのはランサム。味方になる(&遺産を少し分けて)が全てを話せ、とマルタから事実を聞き出す。

 

翌日、マルタに脅迫状が届く。

指定された場所に行くと、薬を大量投与され瀕死状態の家政婦フランが。そばには失くした薬品バッグが。マルタはすぐに救命処置を行い疑われる危険も顧みず通報する。

事の真相

実はランサムは遺産相続人から外されており、薬取り違え(&拮抗薬隠し)事件を画策。

マルタに過失があれば遺言書が無効になることを狙ったのだ。ブランを匿名で雇ったのも彼で、過失の事実が発覚するように仕組んだのだ。しかし実は、薬瓶のラベルを見なくともいつもの感覚でマルタは正しい薬を無意識に選択していたのだった。ってことはすぐ救急車を呼んでいれば間違えてなどなかったことが分かり助かったのね…。切ない。薬を入れ替えているところを家政婦フランに見られ、脅迫されたところを逆襲しモルヒネを大量投与し、これまたマルタに罪を着せようとしたのだった。

ブノワが推理を披露するために呼び出したランサムの前で、マルタはフランの意識が戻ったと告げるそれを聞いて観念したランサムは自供

と同時にマルタはたまらず嘔吐…。フランは亡くなっていた。つまり渾身の嘘だったわけ。

怒ったランサムは部屋にあるオブジェから引き抜いたナイフで、マルタに襲い掛かるも、刃が引っ込む偽物ナイフで無事だった。ランサムは警察に連行される。

マグカップの言葉 "My House My Rules My Coffee!!"

ハーランの遺産は全て、マルタの物に。

屋敷を追い出された親族たちを、マルタはバルコニーから見下ろす。あのマグカップを手に――。

f:id:kurakero:20200702135933j:plain

©2019 Lions Gate Entertainment Inc.

移民のマルタと富豪一族の立場逆転をどう感じるかは自分の今の立場で異なるだろう。不快?それとも痛快?

移民の少女に対して「家族も同然よ」といい顔をしていたのに、財産を奪われると知るとものすごい剣幕で罵りだす。マルタへの優しさは、所詮持てる者が持たざる者に対して持つ施しの気持ちだったのだと、心がすうっと冷える。そして自分たちが持てる者の立場に居たのは、ハーランのお蔭であり自らの力ではないことに彼らは気づいてはいないのが最後まで皮肉だ。

他者へのやさしさとは、自らに余裕がないと持てないものなのだろうか、と考えさせらる。

気に入った台詞

最後の最後にブノワがマルタに声を掛ける。

「あなたはいい人だ」

今回の件で見たくなかったものが見えてしまったかもしれないけれど、マルタはきっとマルタらしく行動するのだろうな。

どうでもいい備忘録

  • スクリーンで嘔吐シーンを目にするのは本当に嫌いなので、個人的に減点。
  • 『ジェシカおばさんの事件簿』をTVで見ている場面があって、わーっ!!となった。
  • 冒頭とラストのマグカップつながりは、監督によると偶然の産物らしい。奇跡。この"My House My Rules My Coffee!!"マグカップはオフィシャルショップにて海外販売あり。いいな。
  • 地元警察の二人はブランのことを大好きな感じで、とても協力的。好感。
  • お屋敷や登場人物、世界観が丁寧にアガサ・クリスティ風。