くらげさろん

とびっきりの台詞を探しています。映画はやっぱり劇場で観たい!こんな作品を観てきましたよっていう映画感想ブログです。ネタバレあり。

『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』【映画感想・ネタバレ・見どころ・名台詞】

 ブラックに会わせろ『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』

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©(2019)TRESOR FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARS FILMS-WILD BUNCH-LES PRODUCTIONS DU TRESOR-ARETMIS

世界的ベストセラー小説、オスカル・ブラック著『デダリュス』の3部作完結編がこの度完成した。

出版社のオーナー、アングストロームが前作同様出版権を獲得する。

話題作を全世界同時発売するため、9人の翻訳家が召集される。

翻訳家たちはとある豪邸の地下に隔離され、外部との通信手段を完全に遮断される。

ところが冒頭10ページがネットに流出し、アームストロングの元に脅迫メールが届く。

24時間以内に500万ユーロ支払わないと次の100頁を公開する。要求をのまない時は全頁流出させる、と。

原稿にアクセスできるのは自身と作者のオスカル・ブラックのみ。

内部犯行だと確信したアームストロングは犯人捜しを始める。一体誰が、何のために…。

原題 "Les traducteurs"

Les traducteursの意味は、仏語で翻訳者たち。

フランス・ベルギー合作。

ダ・ヴィンチ・コードシリーズ4作目『インフェルノ』出版時、米国の出版社が翻訳者たちを秘密の地下室に隔離し作業を行ったという実話がベースになったミステリー。


『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』予告編

見どころ

犯人捜しよりも、犯人がなぜこんな行動をとったかに軸が置かれたミステリー。観ている側の情報だけでは、推理できない。構成がわかりにくいのが残念だが、すべては伏線を活かすため。ラストでオセロの黒白がひっくり返るように腑に落ちるのが爽快。

少しでも見ようと思うのなら、ネタバレは絶対読まない方がいい作品。

 

冒頭、燃える室内。本棚や本が大量にあることから、書斎か本屋か。

場面は変わり、ブックフェア。アングストロームは完結編『死にたくなかった男』の出版権を獲得したと誇らしげに宣言する。

全世界同時発売のために9人の翻訳家たちが召集される。 日本語担当はおりません。

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©(2019)TRESOR FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARS FILMS-WILD BUNCH-LES PRODUCTIONS DU TRESOR-ARETMIS

翻訳家たちが送り込まれたのはフランスのとある豪邸部屋数たくさんありそうなのに、ご丁寧に地下に隔離。銀行の金庫のような扉で閉じ込められる。どんなに広く豪勢な部屋でも勘弁。広さは問題でなく閉塞感が恐ろしいのだ。日光をくれー。

翻訳家たちを少し紹介英語担当アレックス。3巻目で初参加。

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©(2019)TRESOR FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARS FILMS-WILD BUNCH-LES PRODUCTIONS DU TRESOR-ARETMIS

ロシア語担当カテリーナ。作中のヒロインになりきって登場。完全に感情移入しないと翻訳できないと主張する。こういう人、いそう。

イタリア語担当ダリオ。よく見かける俳優なのでひょっとして犯人かと思わせるけど、あまり活躍せず。

ポルトガル語担当テルマ。坊主頭は顔の造形に自信がある人がする髪型。

ギリシャ語担当コンスタンティノス。ギリシャ語がいるなら日本語がいたっていいじゃないか、と思う。

スペイン語担当ハビエル。どもり癖がある。

他にドイツ語、中国語、デンマーク語がいる。

デンマーク語担当エレーヌにはエピソードもあって結構な時間が割かれる。でも作家になりたかったけれど才能がなくて今に至るとか、夫が子供を欲しがったせいで自分の人生は犠牲になったとか、現状に愚痴ばっかり言ってる人なのでなんだかなあという感じ。ゆえに割愛。

窮屈な環境ながら9人は親睦を深めていく。

そんな中で小説の流出が発生。金を要求され、支払わなければ更に100頁を流出させると脅迫メールが届く。そこには前夜のクリスマスパーティーで合唱した歌詞が引用されていた。原稿の内容を知るものは限られている。内部の犯行だと考えたアングストロームは翻訳作業を中断し、犯人捜しを開始。

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©(2019)TRESOR FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARS FILMS-WILD BUNCH-LES PRODUCTIONS DU TRESOR-ARETMIS

身体検査を行ったり、電気や食事を止めたりと暴挙に出る。 

それでも流出は止まらず更なる脅迫メールが届く。とうとう拳銃を振り回すという狂気の沙汰に。たまらずアレックスが、遠隔操作でメール送信していたと自白。しかし要求をのまない限り事態は収束しないとわかり、アングストロームは激高。翻訳家たちは多言語を駆使して互いにやり取りし、アングストロームに抵抗を試みる。しかし、せーので中国語でカウントし出した時はズコーッとなった。いやいや、それくらいアングストロームだって分かるだろうよ。

アングストロームは発砲。カテリーナに銃弾が当たってしまう。アレックスは送信解除パスワードを告げるも、土壇場で秘書が裏切りアングストロームは8000万ユーロもの大金を失う。

気に入った台詞

2か月後。本は無事出版されている。

刑務所の一室で面談するアレックスとアングストローム。アングストロームの服には隠しマイクが取りつけられている。ここ大事。アレックスは執拗に迫る。

「オスカル・ブラックに会わせろ」

これ、この時点ではなんで作者に会わせろとしつこいのかわからなかった。

ここでアレックスは原稿を事前にどうやって入手していたかの種明かしをする。翻訳家メンバー数人で、鉄道内での原稿すり替えをしたと告白。いや、それ無理があるでしょと思っていたら、やはりそれは事実ではなかった。

アレックスはアングストロームの服についた隠しマイクに気付いていて、それに音をとられないようにして衝撃の事実を告げる。

最初からアレックスは内容を知っていた。つまりアレックスが作者、オスカル・ブラックだったのだ。

 

え、じゃあ最初にアングストロームが出版権の交渉していた男の人は誰なの?

と思ったら、その人(ジョルジュ)とアレックスの馴れ初めが判明。

本屋を経営するジョルジュはたくさんのことを教えてくれた父親のような存在だった。

アングストロームと旧知のジョルジュがアレックスの原稿を持ち込んだのが『デダリュス』のはじまりだった。つまりジョルジュはブラックを演じていただけ。

 

え、じゃあ作者に会わせろってしつこく言ってたのはなんで?

と思ったら、完結編の出版権は渡さないとジョルジュが自分の店に来たアングストロームに告げる場面に。文学を金儲けの種としか見なくなってしまったアングストロームに決別を宣言したのだった。アングストロームは当然反発。階段から突き落としてしまう。そうして店に火をつけて、死体もろとも犯行を隠蔽したのだった。

 

あー、ジョルジュと連絡が取れなくなったアレックスはだから執拗に作者に会わせろと迫っていたのかーと納得。

更に、あー、冒頭の燃え盛る本のある場所は、殺人現場だったのか、と。

本屋が燃え、ジョルジュは消息不明(あるいは死亡)。出版権は渡さないはずのアングストロームが獲得。とくれば、火をつけたのはおそらくアングストローム。だから何度も言っていたわけだ。ブラックに会わせろ、と。腑に落ちる。ブラック(ジョルジュ)にもう一度会わせてくれ、ジョルジュを返せと言いたかったのかもしれない。

自分がブラックだと言うアレックスに、違う、ブラックは俺が殺したんだ、結果としてアングストロームは動転し告白してしまったわけ。当然隠しマイク越しに刑事たちも聞いていた。

ここで刑務所に入っていたのはアレックスではなく、アングストロームなのだと認識が反転する。アレックスの脅迫の事実を録音するための隠しマイクが、アングストロームの殺人の自白を録音したのだった。

アングロームはカテリーナを撃った罪に加え、ジョルジュの殺人罪、加えて騙し取られたと言っていた金は自身の口座に振り込まれていたため横領もしていたことに。

刑務所を立ち去るアレックス。復讐は遂げられたのだった。

どうでもいい備忘録

  • 『デュダリス』そんなに面白い本なら読ませておくれ。
  • 日本語担当がいなくて残念だった。そして9人は多い。見せ場があまりない担当者が少々不憫。